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 べ  ら
 ギザミとも言う。褐色の点線が目立つのが雌、緑色は雄。口が小さいので、大きな針では釣り難い。しかし瀬戸内海では良く釣れる。今日の釣果も、カサゴと石鯛が1匹づつ、他はベラばかり。勿論小さいベラは海へ返してもまだ30匹も。型の良いベラが良く釣れた。殆どの人は、ベラの料理方法は煮付けしか知らない。下記の料理はどれも美味しい。このベラ料理を食べたら、ベラこそ最高の味の魚だと気が付くだろう。私のベラ料理を食べた我が女房曰『私は○十年間ベラの一番不味い食べ方していた‥‥』と絶句した。
 南 禅 寺 蒸 し

野島(防府市)沖のおもせ灯台にて

            器は萩焼(松野龍司窯

コメント
 昆布のだしが効いていて、薄味であるのに、コクもある。香りも昆 布と梅の匂いが立ち、食欲をそそる。作るのに手がかかるが、美 味しいく、深みのある料理だ。
コツ:
 薄味の料理ほど、出し汁が大事になる。昆布とカツオ節からきち んと取ろう。
@表面のぬめりを水洗いして取り 除く。下ごしらえをして身を3枚に おろす。 A腹骨を削ぎ取り、小骨は骨抜き で抜く。
Bおろした身の中央に包丁の切  れ目を縦に入れ、厚みのある背 側に開く。 
C梅干しの種を取り除いて包丁で 叩いて、ペースト状にする。
D皮を上向きにして、半分に切っ  た青シソ、叩いた梅肉、豆腐(中 ほどに)をのせる。残りの半身は 皮を下にして、同様に具を置く。
E手前から、豆腐を包むように巻  き、半分に切る。
F布巾で表面を拭き取った昆布を 器に敷く。
G昆布の上に、巻いたベラの断面 が見えるようにのせる。サヤエンドウ など彩りの良いものを添える
H酒を2、3滴ふってから、蒸し器  に入れる。
I沸騰した状態で7〜8分蒸す。
J銀あんを作る。出し汁を火にかけ、薄口醤油、塩、味醂を少量ず つ加える。味付けの目安は、吸い物よりやや薄い程度。水溶きし た片栗粉を入れて、とろみが付くまで少しずつ加えてゆく。
K蒸しあがったベラに銀あんをかければ出来上がり。
串揚げ
@上記のAまでし、皮を引く。
Aべらの身側に2、3mm間隔で切れ目を入れる。皮まで切らないように注意する。
B長芋の皮を剥いて、縦4等分に切る。チーズをベビーチーズサイズに切る。アスパラガスを4cmの長さに切り揃える。
Cべらの身の皮側を上にして置いて、その上に具を乗せて、べらで包むようにして巻く。巻き終りを竹串で止める。アスパラガスは3本づづ1組にして巻く。
D衣を作り、衣を付けた後、パン粉をまぶして170度の油で揚げる。
Eポン酢やソースをかけていただく。
 姿 造 り
@表面のぬめりを水洗いして取り除く。下ごしらえをして、頭を残したまま3枚におろす。
A腹骨をそぎ取り、小骨を骨抜きで抜く。
B皮と身の間に包丁を入れて、皮を引く。
C皮と引いた身を2〜3mmの厚さにそぎ切りする。包丁を寝かせて斜めに包丁を入れる。
D皿に頭付の骨を置き、大根のケン、青シソ、ワカメ、パセリ、レモン等を盛り付け、そぎ切りした身を並  べれば出来上がり。山葵醤油を付ていただく。
 コメント
   新鮮なベラは身が透き通ってこりこりとした歯ごたえだ。
 甘 酢 か け
@表面のぬめりを水洗いして取り除く。鱗、エラを取り、裏身に隠し包丁をして内蔵を取り出す。
A腹の中を良く水洗いして、水気をふき取り、両面に切れ目を入れる。
B身の表面に塩をふる。
C強火の遠火で、盛り付けて上になる表面から焼く。表身に8割ほど火が通ったら、身を裏返して、残り  2割を裏身から焼く。
D酢大匙1杯、醤油小匙1杯、砂糖小匙1杯を合わせ、千切りにしたショウガ、種を取り除いて輪切りに  した赤唐辛子を入れて甘酢を作る。
E焼き上がったベラを皿に写し、合わせた甘酢を全体に馴染むように掛ける。湯がいたインゲン、輪切り  にしたレモンを添えて出来上がり。身に甘酢がなじんだところでいただく。
 コメント
   甘酢のさっぱりとした味はベラの身のうまみを上手に引き出している。
   甘酢はベラが焼き上がったらすぐに掛ける。暖かくないと、甘酢が中までで染み渡らない。
   熱々でも良いし、常温でじっくり甘酢を身にしみ込ませた後、いただいても美味しい。
 ム ニ エ ル
@表面のぬめりを水洗いして取り除く。鱗、エラを取り、腹を開いて内蔵を取り出す。
A背鰭、腹鰭、胸鰭を料理バサミで切り取る。
B腹を水洗いして、ペーパータオルで水気をふき取る。
C塩、胡椒を両面にふり、小麦粉をまぶしつける。余分な粉は軽く手ではたいて落す。
D温めたフライパンにサラダオイルとバターを入れ、バターが溶け始めたところで、Cのベラを表身を下  にして入れる。
E油をベラに掛けながら、中火で香ばしく皮に焼き色を付る。
F火が通ったら、余分な焼き汁を捨てる。白ワインを入れ、フライパンを揺すって全体にからませる。
Gアーモンドソースを別のフライパンで作る。
    ・温めたフライパンにバター30gを入れる。
    ・バターが溶けたらスライスアーモンドを入れ、弱火でキツネ色になるまで炒める。
    ・色がついて来たら白ワインを入て火から外す。
    ・レモン汁、パセリのみじん切り、Fフライパンに残っている白ワインを加える。
H皿にムニエルを並べ、上からアーモンドソースを掛ければ出来上がり。
 
コメント:

    ベラの柔らかい肉質とアーモンドのコクがマッチした料理。
    ムニエルに油を掛けることにで、表面がパリット、身は柔らかく焼き上がる。
 ワ イ ン 風 味 煮
@表面のぬめりを水洗いして、鱗を取り除く。エラと内蔵は残したまま調理する。
A鍋に水、白ワイン、輪切りにしたタマネギ、ローリエ、パセリの茎を入て火にかける。
B水と白ワインが沸騰してきたら、塩ひとつまみ、砕いた粉コショウを入る。
C半量に煮詰まったところで、弱火にする。頭を左にしてベラを入れ、クッキングシートで落とし蓋をして7分  ほど煮る。
Dベラに火が通ったら、火から外し、鍋底を氷水を当てて冷やす。
E皿にベラを並べ、野菜を盛り付ける。煮汁をベラにかければ出来上がり。
F出来れば一晩寝かせて、煮汁にとろみを付る方がいい。一晩寝かす場合は、ベラと煮汁を容器に移し、  ラップをして冷蔵庫に入る。煮汁にベラのゼラチン質が出て来てとろみが付く。
 コメント:
   冷え冷えのベラに、味がしっかりついた煮汁はさっぱりとした口当たりだ。美味しい。
   腹を開いて内蔵を取ってしますと、煮た時に身が反り返ってしまうので鱗だけを取って調理する。
サラダ
@下ごしらえ3枚におろし、A腹骨を削ぎ取り、小骨は骨抜き で抜く。までをする。
A皮と身の間に包丁を入れて、皮を引く。
B身を2、3枚にそぎ切りする。
C切り身をバット並べて軽く塩を振り、冷蔵庫の中で20分ほど寝かせる。
D切り身を冷蔵庫の中から出して、合わせ酢の中に10分ほど浸す。
E胡瓜、人参を細切りにする。
F漬けておいたべらを取り出して、布巾で水分を取る。胡瓜と人参の細切りを乗せて、巻いていく。
G器に盛り付ける。適当に、レタス、トマト、ワカメなどを付け合わせる。

鯛の酢漬けと間違える美味がする。

コツ
 べら料理は、兎に角面倒がらずに時間をかける。
 ぬるぬるして3枚におろし難い、中骨を取るのに時間がかかる。
 さ つ ま み そ
べらを水洗いして表面のぬめりを取り、布巾で水気を拭く。鱗、エラ、内蔵を残したまま焼く。皮が薄いので、焼き網にサラダ油を薄く塗って焼くと皮が網にくっつかない。
 べらを火から外し、身を箸でほぐし取り、すり鉢にいれる。
 ほぐりた身をすり鉢でする。2分すって、身がほぐれたら、味噌を加える。
 味噌と身がほどよく混ざったら、茶碗半分の湯を加えて、混ぜる。
 ご飯を茶碗によそい、中央に上記を盛る。きざんだネギをのせて出来上がり。

べらのさつまみそは、山口桂島に古くから伝わる郷土料理。私は子供のころ祖母が、鯛で作っていたのを記憶しています。べらを使ったさつまみそが最も美味しいとされているが、白身の魚なら代用になる。
 煮 付 け 最もポピュラーな料理
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